第4章 憲紀君
「何を言っている。私以外にやらせたらキレてたぞ。走れ!」
『う、うん…!』
走り始めながらも、キレてたって…と考えられずにはいられない。
ちらりと走る彼の横顔を見れば真剣そのもので、戦闘中だけ開く右眼に少しだけ心臓がしめつけられた。
そして、それからはもう必死で…
1度治したとはいえ、限界を迎えてしまった狗巻君と、不意に殴られた憲紀君。
私達から遠ざけるために、伏黒君と真希があれを遠くに吹き飛ばしてくれて…
強く打ったであろう憲紀君の頭を少し治し、西宮ちゃんに2人を預け、そして、森の中で眠っていた2年の三輪ちゃんを帳の外へ運んだところで、硝子さんと合流する。
真希達が無事でありますように…
真希や狗巻君の治療を終え、真希と野薔薇とそのままシャワーを浴び一息つく。
たくさん、人が亡くなったって言ってたな…
『私、憲紀君のところ行ってくる』
「そろそろ治療終わってると思うぞ」
『そうだよね…!真希は特に、無理しちゃダメだからね!』