第4章 憲紀君
振り向けば、固まっている憲紀君と伏黒君。
『み、見たの…?
い、いや、そんな事より電話!』
「す、すみません。
確かに…あれはきっと前に五条先生を襲った特急呪霊です。
領域を使うかもしれませ…ッ!」
途端、弾き飛ばされる伏黒君のスマホに目を開いた。
なんてスピード…!
「¥$€×+*…!」
意味が分からない…はずなのに、分かる。
…脳内に語りかけられているの?
気持ち悪いと思いながらジリジリと後ずされば、
次の瞬間、
『ひっ…ぁ…っ…!』
足元に急に生えてきた蔓に絡めとられる足。
足を刺される。
そう思った時には、痛みと共にふわりと身体が浮いていた。
「2人とも走れ!」
『…憲紀、君』
刺されそうになった私を憲紀君が呪力で突き飛ばし、少し深いが掠めた程度で済んだのだ。
私、憲紀君に抱き上げられてる?!
じんじんと痛む足では、確かに、男の子3人の走るスピードには敵わないだろう。
『ありが、と…』
「気にするな!それよりも…
自身を治すには、一旦誰かが唾液を貰うんだよな」
『そ、そうだけど…!』