第4章 憲紀君
ワンッ
へ…?
この付近…?
反応を示した伏黒君の玉犬を振り返るが、威嚇モードに入っている。
絶対にこの付近にいるってことだ。
呪力を身体に纏い、付近の草むらをしらみ潰しに覗き込めば…
!!?
な、に…これ…
見つけたであろう目標呪霊。
でも、その身体には呪符?が張り巡らされていて…
って、そんな事、今はどうでもいい!
早く、祓う!
呪式を繰り出して躊躇いなく当てていく。
ええっと?抵抗無し…?
「高菜!」
『狗巻君!見つけた…!目標!
でも、もうすぐ祓え…!!?』
スパッとその目標呪霊の頭が切られて祓われる。
なに、この呪力量…!
後ろに飛び、合流した狗巻君と並ぶと、彼が咄嗟に玉犬を下がらせる。
現れた凄まじい貫禄のある呪霊に、再び戦闘モードに入る。
「しゃけいくら、明太子」
『なに、あいつ…!』
狗巻君をちらりと横目に見て、術式を繰り出す。
「【動くな】」
ピタリと止まったそれに、私の呪力をぶつけ、そして背を向けて一気に走り出す。