第4章 憲紀君
「琴音さんは、その人と結婚するのに、その人の事が苦手ってことですか?」
『その通り、あはは…』
「じゃあ、その人の良いところいっぱいあげていきましょう!」
野薔薇、君はなんて可愛くて良い子なんだ…
そう思いながらも、私も口を開いて、
『顔が綺麗、強い、努力家…多分、私に気を遣ってくれてる、とか…?』
「結構あるじゃないですか!」
『た、確かに!…今回くらい、私から声かけてみようかな…』
「その調子ですよ!」
そう、野薔薇と2人でガッツポーズをして、稽古に戻る。
持つべきものは、良い後輩だなぁ。
2年生のみんなにも応援されて、少し気分が明るくなると、1年の伏黒君が唐突に声を開く。
「相手って、誰なんですか」
『ん?あぁ、えっと加茂憲紀っていう、3年生なんだけど…知ってるかな?』
「か、加茂家!?」
そう、少しびっくりしていて笑ってしまう。
そっか。伏黒君は一応禅院の血が流れているんだっけ?
『普通に話せるといいなぁ…』