第4章 憲紀君
嫌じゃないなら俺が説明しちゃうぞ!って言って、パンダがさらりと、
「琴音のフィアンセが京都校にいて、顔合わせるのが気まずいってことらしいぞ」
そう言って、私に向き直ってから、合ってるよね?と確認してくれたので、大体そういうことです、とだけ返して両手で顔を覆う。
『私も綺羅羅や秤みたいに謹慎になっとけば良かった…』
いや、既にあの時には憲紀君の許嫁であったわけだから、彼らみたく保守派に喧嘩を売るようなマネしたら、私、終わってたか。
だって、保守派=御三家の偉い人、だもん。
綺羅羅と秤なら、少しは恋愛とかそういうことに詳しそうだな。
仲良しになる秘訣くらい、聞いておけば良かったなぁ。
「謹慎は、ならねー方が良かったんじゃねえか」
『真希…その通りだよ…』
不甲斐ない、本当に。
きっと私も京都校の人間で、彼と過ごす時間が長ければ、苦手意識はすぐに吹き飛んだだろうに…
明日で、顔を合わせるのは…6回目か。