第3章 五条君
ゴンゴンと扉を叩くような音で意識が浮上していく。
「……る!……けろ!」
ゆっくり目を開ければ、いつも見慣れている自分の部屋の天井ではなくて…
…わ、わたし!悟と…!?
そう意識を手放す前までの記憶が頭の中に流れ出す。
一気に熱くなる頬を両の掌で包めば、寝ているベッドが揺れて隣から、
「ったく、うるせーな!何!?」
起き上がったのであろう悟が、そうイライラしたように口を開く。
やっぱり、夢じゃない…!
「悟、早く開けてくれないか。もうすぐ明日の個人戦の相手を決めるそうだよ」
「おい、琴音がまだ部屋に居なかったけど、まさかそこにいるとか言わねーよな」
夏油君と硝子ちゃん!?
扉越しに聞こえてくる声にびくりと身体が揺れて、それに気付いた悟に覗き込まれる。
「起きた?ちょっと待ってろ」
…!
至近距離で綺麗な蒼い瞳を見て、目を見開いてしまう。
さっきも見てたはずなのに、慣れないよ…!
ベッドから降りて扉に向かう彼は、上裸だが、ズボンとベルトは身に付けていて…
あれ、私…下着、着てる!!
悟が、着せてくれたの?