第1章 五条先生
「言っとくけど、硝子じゃ治せないからね。
反転術式を使えば、今感じてる快楽が痛みや苦しみに変わっちゃうから」
『っ!そ、こ…喋ら、ないで、くださ…』
耳を掠めているのはきっと五条先生の唇で、
そこから聞こえる声に身体が大きく揺れてしまう。
クスッと笑う先生の声に、唇を噛み締める。
この人…!
絶対楽しんでる!!!!
「耳、弱いんだ?それとも僕にドキドキしてるの?」
『せ、先生…!ばかぁ、早く、治して…ぅ、んぁ』
早く治して
そう言った瞬間、見えないけれど、五条先生の口角が釣り上がったのを感じる。
うるさい心臓の辺りをぎゅっと握れば、先生の手が私の頭に添えられ動かなくなる。
声、出ちゃいそう…!
必死で声が出ないように、反応してしまわないように身構える
が、それは一瞬で崩れ落ちてしまう。
くちゅ、ちゅぅ…
『ひぁっ!ん、やぁあ…』
片耳に感じる生温く柔らかい感触と、いやらしいリップ音。
脳内を反響してるみたいにその音が響き渡り、逃げたい、それ以外のことを考えられなくなる。
当然、逃げられないのだけれど。