第3章 五条君
私が口を出せる空気ではなくモヤモヤとした気持ちのまま、五条君…悟に触れられている場所に意識を向けてしまう。
すると、
!!
顎をすくい上げられ、背の高い彼を見上げる形となる。
「なーんも、分かってねぇって顔?かーわい」
『…へ?』
可愛い
って、今、ごじょ…悟が、言った…?私に?!
ただでさえ熱くなっていた身体から力が抜け落ち、よろけそうになれば再び腰を抱き寄せられて支えられる。
『ひっ…うぅ……しょ、硝子ちゃん!助けて…』
「あー、ごめん琴音。そういう勝負なんだわ」
ん?
「そ!俺か傑、どっちか先に琴音に名前呼んでもらった方が琴音のこと好きにできるって勝負に、硝子が加わったってわけ」
んんん?
「硝子が勝ったら、俺達2人は手出し出来ないってことになってたんだけどね」
な、なんだって…?!
好きにできる、って…
いや、私の許可は!?
彼を見上げれば、口角を釣り上げて意地悪に微笑んでいて背筋が凍りそうになる。
に、逃げよう…!!