第3章 五条君
『えっと…』
そう呟きながら、目をパチパチと瞬きする。
あの五条君のお願いだから、高専からかなり離れた場所のスイーツを買ってこい、くらい言われると思っていたのだけれど…
いや、これはこれで難易度高い?
「ほーら、呼べよ。これからずっとだから」
『!…あの、これから、そうするから…離して?』
五条君の口の悪さがいつもより軽減しているような?
いやいやいや、そんなことよりも!
私、ずっとこの距離で…
「呼んでくれたら離してあげるかもー」
『ええっ!?……さ、悟?』
ずっとこの距離で見つめられる方が恥ずかしいと判断して、なんとか彼の名前を呼んで恐る恐る彼と目を合わせると、口角をあげてニヤリと笑っていて…
スッと両脇に手を差し入れられて立たされれば、今度は肩を組まれてしまう。
「はーい、聞いてた?2人とも。俺の勝ち」
「セコすぎ」
「全くだ」
…えっと、いや、だから、何が!?