第3章 五条君
「終わった終わった〜、硝子治せた?」
「ん。ばっちり」
「突然、悟と琴音が現れた時は驚いたよ。
怪我は大丈夫かい?」
そう京都校の人達を追い払った2人が陰にいた私達の元へ来てくれて、夏油君に差し出された手を掴もうとすると、
『え、あ、五条、君?!』
座り込んでいる私に合わせるようにしゃがんだ五条君に引き寄せられたかと思えば、彼は私に手を貸そうとしていた夏油君に向かって舌を出す。
…!!!?
え、私、抱きしめられて…
「琴音」
『ち、近いよ…ひゃっ!』
ただでさえ心臓が破裂しそうなくらい大きな音を立てていたのにも関わらず、さらに五条君は腕に力を込めたのだ。
間抜けな声が出た事に恥ずかしさが込み上げたが、五条君のその行動は、彼の身体に強い呪力が流れた事でやっと察する。
私の背後に、何かいる??
「ラッキー、今回の目標呪霊じゃん」
「おー、じゃあ私らの勝ちで終わりだな」
『え!?一瞬で祓っちゃった…』
硝子ちゃんの言葉に、今、私を抱きしめている五条君の強さを再確認させられる。
ってことは私…
今、1番危なくない!?