第3章 五条君
軽々しく私をお姫様抱っこすると、口角を上げてサングラスを下にずらし、私と目を合わせるこの人こそが、六眼により無下限術式を操る五条悟である。
『あ、ありがと…その、下ろして?』
「は?怪我してんじゃん。
今の琴音が走るより、俺がこのまま走った方が速いよ?」
当たり前のようにそう言った後、
まあ、そこらへんにいる奴蹴散らしても良いんだけど、戦闘不能にしたら怒られるからなぁ。
なんて恐ろしい事までポツリと…。
密着する身体に顔が熱くなるも、これ以上私が抵抗して周りの人が怪我をすることは避けなければと脳が叫んでいる。
入学してから今日という日まで…いや、これからもきっとそうなんだけれど、この五条君と、同じく同級生の夏油君には逆らえない。
そのせいで、なじられたりする事も良くあるが、怒らせるよりはマシだ。
そして、もう1人の同級生である硝子ちゃんは気軽に話せるものの、私なんかよりよっぽど肝が座っているのか、五条君や夏油君へも毒舌を飛ばしている。…私にはきっと無理。
『あの…五条、君?って、ヒッ!待っ…!』
「掴まっとけよ、落ちたらやばいから」
『〜〜〜〜!!』