第2章 狗巻先輩
いつ命を落とすか分からない身。
恋が叶うなんて全くの想定外だった。
この前の呪力がこもった呪言とは違う、狗巻先輩の想いのこもっている言葉に、涙が溢れてくる。
『ずるいです…!
私、のが…先輩のこと、好きなのに…』
そう言った私にふっと笑った先輩がさらに強く私を抱きしめる。
「ツナツナ」
よしよし
そう言うように背中をさすってくれる先輩の声は、いつも以上に優しくて、思わず先輩の着ている浴衣にしがみついてしまう。
きっと発する言葉を最小限に抑えるために、私に想いが伝わるように選んだ言葉だと分かるから、余計に嬉しい。
そしてそのまましばらくして、先輩が申し訳なさそうに私から離れると、スマホの画面を差し出し、私に読むようにジェスチャーする。
??
何も考えずにその文字を読み上げれば、そこにはとんでもない事が書いてあって…
『"五条先生としたの?"……って!え!いやいやいや!違っ…!!』
違います!
そう言いかけて、ハッとして声を発せなくなってしまう。
下着姿を見られて
なんなら、ショーツも脱がされて……
してないと断言するには、あまりに進みすぎていた。
狗巻先輩との時間を作ってくれた先生には感謝してもしきれないのだが、思い出せば出すほど恥ずかしさと、目の前の先輩への申し訳無さに下を向いてしまう。