第2章 狗巻先輩
『狗巻せんぱーい、もどりまし…た?』
部屋に戻れば、布団の上で気持ちよさそうに眠る狗巻先輩。
今日は色んな事があり過ぎた…
慣れない土地での任務の1日目が終わりやっと宿に着いたと思えば、例のごとく人手不足なこの呪術界のせいで、補助監督の方は一旦東京に戻られて、狗巻先輩と2人きりになると、部屋は狗巻先輩とパンダ先輩だと思ってたから1つしかないと…しかも他の部屋は満室。
部屋1つしかとってないって…
満室って…
絶対、五条先生…!!
そう2人で顔を見合わせて仕方なく部屋に向かい、そのまま大浴場へ…そして帰ってきて今に至るわけなのだが…
普段の制服とは違う浴衣姿に数秒その場に立ち止まってしまい、深呼吸をして近くに置いてある厚めの布団を先輩にかける。
「ん…つな……」
寝ぼけてるのかな…?
もぞもぞと布団にくるまり再び寝息を立て始める。
可愛い、すぎる…!
突然の任務を言い渡された昨日の午後と、めちゃくちゃ強い呪いを数回相手にした今さっきは、"五条先生のばか!"と叫び出しそうになってしまったけど、今はそんな事を忘れて、ただただ、"ありがとうございます!"と心の中でお礼を言う。
一昨日のあの事件のせいで、行きの車の中では少し気まずい思いもしたが、先輩はいつも通り、いや、なんならそれ以上に優しい。
先輩の呪言のアシストのおかげで早めに今日の任務は片付き、まだ時刻は9時前を指しているが、特にやることもなく明日の任務の資料に目を通すことにする。