第2章 狗巻先輩
狗巻side
「んんんっ〜!」
五条先生に喋らないように押さえつけられた神楽は、五条先生の腕を両手で掴み、必死の抵抗を見せている。
…っ!
先程、彼女が、自分との気まずい空気から逃げようとして五条先生にお腹を抱きかかえられるように密着した時同様、胸の奥にモヤモヤとした何かが現れる。
「俺、行きたかったのに〜!」
「まあまあまあ!後輩の成長のためだと思ってさ!」
そんなパンダと五条先生やりとりを横目に、彼女の前へ足を進めて五条先生の腕を掴む。
自分でも何をやっているんだろうと呆れてしまうのだが、どうにも我慢できなかったのだ。
『おかか』
そう呟けば、先生はパッと彼女から手を離して、ごめんごめーん!と笑う。
ほっとして、座っている彼女に目線を合わせて微笑めば、彼女の頬が赤く染まっていった。
その大きく開かれた瞳に自分まで恥ずかしくなり、片手で目元を隠してしゃがみこんでポツリと
『明太子…』
そう呟いたんだ。
狗巻side.end
「おやおやおや」
「なんて分かりやすい奴等」
「えっ!?あっ!えぇ!?そういう!?」
「俺達どっか行きましょうか」
そう、五条、真希、パンダ、伏黒が言っていたことに、狗巻と琴音は気付いていない。