第2章 狗巻先輩
「えー!明日のパンダと棘の遠出任務なんですが!急遽!
琴音と棘に行ってもらうことになりました!」
その五条先生の一言で、私を笑っていたパンダ先輩、真希先輩、伏黒君が一斉に
「「「はぁぁあ!?」」」
と声をあげる。
明日の遠出任務、というのは、呪いがかなり溜まってる地方へ1泊だったか2泊だったかで出張するというもので、5日ほど前に決まったらしいのだが、かなり良い宿だったみたいでパンダ先輩が"仕事だけど楽しみ〜"と言っていたやつである。
「おかか…?」
「んー、もう決まっちゃったから!パンダと恵と真希は別の厄介な方に行ってもらうんだ〜」
顔を覆っていた両手を外して五条先生を見上げれば、パチリとウインクをされてしまう。
う、嘘でしょ…
抗議の声を上げるパンダ先輩と、めんどくさそうにため息をつく伏黒君と真希先輩。
私のために五条先生が仕込んだことであることを悟り、みんなのその反応はグサリと私の心に刺さる。
『待ってくだ…んんんっ』
そう口を開いて発しかけた否定の言葉は、惜しくも先生の大きな掌に塞がれ、もう片方の手で後頭部を押さえられる。
五条先生…!!!