第2章 狗巻先輩
ま、真希先輩!!!?
唐突なその言葉に私も狗巻先輩も開いた口が塞がらない。
…狗巻先輩の口元は隠れているから憶測だけれど。
「なんだ?喧嘩したのか昨日」
そう首を傾げているであろうパンダ先輩の方を向くことすら出来ないほどに、頭をフル回転させて何を言うべきかと考える。
喧嘩したわけじゃない。
助けてもらっただけ…
そ、そそその時の私は裸も同然の格好をしていて…
あ、でも下着は付けてた?
いや、いやいやいや…!
再び思い出していく内に、恥ずかしさが込み上げて来て、
『え、えっと…狗巻、先輩……き、昨日は、ありがとうございました!!』
そう思いっきり頭を下げて、1階であるこの教室の窓へ思いっきり足を踏み出すと…
「ちょっっと待ったぁ!!」
『ひっ!ご、五条先生!!?』
いつの間にか背後に現れた五条先生に、お腹に片手を回されて、そんな可笑しな光景に笑っているみんなの前に引き戻される。
なんで毎回、こうも背後に現れるかな!?
いくらなんでもあんまりだと、両手で顔を覆ってされるがままにされていると、机の上に座らされてみんなも教室に入ってくる。
指と指の隙間から見えた狗巻先輩は、ちょっと楽しそうに、でもなぜか顔はほんのり赤く染まっていた。