第2章 狗巻先輩
五条先生の"任せなさい"という言葉は妙に信用出来ない、と思いながら深く息を吐き出す。
教室での座学の練習問題を解き終え、隣の伏黒君が終わるまで待ちながら昨日のことを思い出す。
狗巻先輩…
この最悪な状況を作り出してしまったのは、紛れもなく任務中に油断していた私で…
だからこそ、モヤモヤするこの気持ちをどこにもぶつけられない。
「神楽、終わったぞ。提出しに行くか」
『あ、うん!』
そういつの間にか私の机の前に立っていた伏黒君と、教室の扉を開けようとすると、聞こえてくる真希先輩とパンダ先輩の声。
扉にかけた手がピタッと止まってしまい、?マークを頭の上にのせた伏黒君に覗き込まれる。
狗巻先輩の声がする…
ちょうど扉越しに、声の主達が通り過ぎようとした瞬間、
ガラララッ!
『きゃあっ!』
「うわっ、パンダ先輩!?」
「よーっす、1年生達!
…ってなんだ?扉の前で2人で突っ立って」
伏黒君が事情を説明しながら課題プリントを見せている間、狗巻先輩の方へ視線を移すと、
「お前ら、昨日何があったか知らんけど、とりあえず仲直りでもしとけ」
そう真希先輩にスパッと言われてしまい、パンダ先輩と伏黒君もこちらを見る。