第2章 狗巻先輩
目隠しではない、オフモードのサングラスをかけた先生が、私の顔を無理矢理にその綺麗な青い瞳で覗き込む。
「え〜、そういうんじゃなくてさっ、棘のこと、気になってたでしょ?
恋は実りそう??」
こ、この先生…!
伏黒君が五条先生とめんどくさそうに話したり、真希先輩がクソメガネと呼ぶ理由がなんとなく分かってしまう。
『!!…先生のばか』
「えぇ?いやいやいや、まあ、確かにファーストキスを奪った僕が言うのもアレダケド…」
『なっ…!狗巻、先輩は……』
どんどんと身体を密着させるように迫り来る先生に、心臓が大きな音を立てながらも、
狗巻先輩との関係を上手く修復出来る気がしないと、泣きそうになる。
呪いが見えるという特異体質を理解されずに中学を卒業した私に、優しく、理解を示してくれたのは狗巻先輩だった。
まだ入学して、先輩と出会ってから、大した時間は経っていないけれど…
『先生、もうだめです…』
そうポツリと呟けば、あらあらと私を片手で抱き寄せてくれる五条先生。
悔しいけど、落ち着く…
「一石二鳥で上手くいくと思ったんだけどなぁ…
まあ、可愛い生徒のためだ。任せなさい!」
『?!』
そう、ぽんぽんと頭を撫でられたと思えば、目の前にいたはずの先生はもう居なかったんだ。