第2章 狗巻先輩
とにかく急がなきゃと、汗濡れて…いや、もう半分乾いているが、下着を着替えて楽なワンピース姿になると、顔を洗う。
五条先生…あの性格だから、気まずくなるとかは無くても…
私が勝手に色々思い出して、恥ずかしい気持ちになるのは確かだった。
何を、言われるんだろう…
そう思いながら、蛇口を閉めていると。
「んー!元気そうで良かった!」
『きゃあっ!なっ…!先生!?』
そう突然背後から覗き込まれて、ビクッと身体を揺らす。
こんな突然だなんて、聞いてない…!
急いで顔を拭いて振り返れば、全身を見定めるように見回され、逃げるように後ろに身体が反ってしまう。
「さっすが棘。もう呪い消えちゃってるよ!良かったねぇ。
で、どうだった?やっぱり"呪言"だと、気持ち良いの!?」
『ち、近い、です…!』
「あんなに絡み合った仲なのに」
瞬間、やはり思い出してしまう先生とのこと。
この人、一応先生だよね!?
そういうことって言わないのが普通なんじゃ…!
顔が熱くなり、それを隠すように横を向いて手で覆えば、先生の両手がシンクの縁を掴み、完全に閉じ込められてしまう。
『ご、ご迷惑を……すみません、でした…』