第2章 狗巻先輩
五条先生とは違う。
ふわっ包み込むような優しい抱擁に目を細めながらも、熱くなる身体に恥ずかしさを感じてしまう。
パサッと落ちたブランケット。
目の前の狗巻先輩の瞳に、私の下着姿が映る。
驚きで声が出そうになるが、先輩にきゅっと手を握られて落ち着く。
普段パンダ先輩といるからか、細く見えていた狗巻先輩も男の人なわけで…
熱く火照る身体とは別に、鼓動が早く、その音が大きくなっていく。
『んっ…!せんぱい?』
気付けば、パーカーのチャックが下がっており、呪言士特有の口周りの紋様が目に入る。
何か、言おうとしてる??
分からないまま、胸元を先輩に握られていない方の腕で隠しながら首を傾げれば、そのまま引き寄せられて再び抱きしめられる。
今度は、しっかり押さえつけられるように。
その瞬間、
密着している先輩に呪力が走るのを感じた。
逃げなきゃ
脳が、今まで鍛錬してきた身体が、そう叫ぶ。
逃げなきゃだめなのに…!
身体に力が入らない上に、先輩に抱きしめられていて、身動き1つとれない。
『せんぱっ「【イけ】」』
『ひゃああっ!!は、ふ…、はぁ…』
普段は聞けない先輩の低い声とともに、耳から入り込んでくる呪力。
止める術を教えてもらったはずなのに、何も出来ない。