第6章 七海さん
七海さんと五条先生が諦めたように息を吐き出したのが見えて、堪らず起き上がる。
私のベッドに座っていた五条先生を、七海さんが雑に押して立たせると、七海さんの顔が目の前に迫り、少し後ずされば、
「おわっ…七海ぃ、俺の扱い雑じゃない?」
『な、七海さん?』
「大丈夫ですよ、神楽さん。
高専卒業したら1番にあなたを抱きに行きます。
…まあ、その時までお預けですが」
!!?
七海さんの口から出たとは思えない衝撃的な言葉に目を見開けば、視界の隅で五条先生も、サングラスの奥の瞳を同じように丸くしていた。
だ、抱きに…いく?
そ、そそそこまで、言ってくれる、の…!?
「神楽さん?」
『は、はい…?』
「残念ながら、逃しませんよ。
大人しく待っていて下さいね、特に…五条さんのような大人には気をつけて」
そう耳元で言われて、ひゅっと喉の奥が鳴った感覚に襲われる。
思わず私の両肩が上がって、それを見た七海さんがフッと笑って私の額にキスを落とす。
分かってはいたつもりだったけれど、
圧倒的に大人な七海さんがカッコ良すぎる…!
「まるで俺が琴音を襲いかねないみたいな言い方やめてくれるー?」