第6章 七海さん
そう自分で声に出せば、顔に熱が集まっていくのが分かった。
以前、"好き"と言われた時は生徒として好きという意味で納得していたが、昨日の言葉と、今の言葉で、私と同じ"好き"なのではと思ってしまう。
七海さん、期待して、いいの…?
大きな音を立て始めた心臓のあたりの服をぎゅっと掴めば、その手に大きな七海さんの手が重なり、びくりと身体が揺れた。
!!
「ちゃんと横になって下さい」
『は、い…』
七海さんのもう一方の腕が私の肩にまわり、ゆっくり寝かせられる。
ち、近すぎる…!!
ベッドで横になっても、七海さんが居たら心臓が休まらないって、分かってる?
肋骨の骨折を治して貰ったことを思い出して、深呼吸をしていれば、七海さんはクマが刻まれた顔で穏やかに笑ってくれる。
好き。
私、やっぱりこの人が好き。
『七海さん、大好き』
「ええ、伝わっていますよ。瞼を閉じて頂いても良いですか」
『?…はい……ん!んっ』
何も考えずに瞼を閉じてしまえば、頬に手を添えられたのが分かると同時に唇に柔らかいものが当たった。すぐ近くに感じる息遣いに胸がきゅっと締め付けられる。
七海さん、また私にキスしてくれた…
「私も神楽さんが好きですよ。今日こそ、伝わりましたか?」
『うれし、いです…もう1回、だめですか?』