第6章 七海さん
顔色の良くなった硝子さんがふわりと笑って、五条先生と病室を出ていく。
明後日に退院出来るようにしといたから〜と言う先生は、ヘラヘラしているけれど、やはり凄く頼りになる。
明後日か…
そう思いながらも再び瞼を閉じた。
『七海さん、会いたい…大好き』
そうポツリと呟けば、誰もいない病室がさらに虚しくなり、ガバッと起き上がる。
「っ!…神楽、さん?」
『…え?…え!?なんで!?七海さん?』
「負傷者の把握のために病院に寄っていたので…
突然起き上がらないで下さい。心臓に悪いです、私の」
私の目の前で、そう大きく息を吐き出したのは紛れもなく七海さん。
あれ?どうして?
五条先生、七海さんと会うのは難しいって…
一瞬、そんな疑問が思い浮かんだけれど、そんな疑問は七海さんがフッと微笑んでくれたことで吹き飛んだ。
本物の七海さんだ…!
今日もカッコ良すぎる…
『私の病室、寄ってくれてありがとうございます!』
「当然です。自分の意中の方が大怪我をしたんですから。
…ですが、家入さんに治して頂けたようで良かったです」
『…意中の、ひと?』