第6章 七海さん
真っ白な天井を見つめて大きく息を吐き出した。
っ!!
肋骨が折れているから大きく呼吸をすると痛みが伴うことを忘れてしまっていた。
それにしても、
…あの時、私、七海さんにキス、されたよね?
それなのに!何でそのまま意識無くなっちゃったの!?私!
もっとちゃんと感じたかったのにと悔しい気持ちを募らせていれば、突然病室の扉が勢いよく開いて、
「コンコン、入るよー」
『ご、五条先生!?…それ、ノックしてない!』
「琴音〜、治しに来たよ」
『硝子さん!…疲れてるのに、京都までありがとうございます』
「本当はすぐ来てあげたかったんだけどさー、京都までは五条が一緒じゃないと許可降りなくてね」
口で"コンコン"と言うだけで、本当のノックはしないで病室に入ってくる五条先生…と、硝子さん。
一昨日の呪詛師集団による百鬼夜行にて、硝子さんは相当な人数を治療したと聞いている。
それなのにわざわざ…硝子さん!大好き!!
病床の隣まで来てくれた硝子さんにゆっくり抱きつけば、ふわりと身体が軽くなっていき、目を見開いた。
『え…?』
「骨折、治したよ。
ただ、頭打ったっていうのは心配だからもう少し安静にしときなよ」
『ええっ!こんな一瞬で…!ありがとうございます!!
五条先生も、お忙しいのに…ありがとうございました!』
「いいってー可愛い生徒のためだもの。頑張ったね、琴音」