第6章 七海さん
ズキズキと痛む頭に意識が浮上して、隣に居てくれた七海さんと目が合った。
今、七海さんに褒められた、よね?
頭が…というか全身が痛くて、息をするのも苦しい
起き上がるのは、無理かも
サングラスを外し、ジャケットを脱いだラフな七海さんにきゅっと胸が締め付けられる。こんな時の七海さんもカッコ良すぎる。
「無理しないで下さい。もうすぐ救急車が来ますから」
『好き、です、七海さん』
「!…えぇ。私も好きですよ」
そう七海さんの声で聞こえた言葉が、じんわりと身体を満たしていく。
先日の保健室でも言ってもらった七海さんからの"好き"という言葉。
あの後、その場の雰囲気で言われたのだと自分に言い聞かせて舞い上がらないようにしていたけれど、もしかしたら、という気持ちが大きくなっていく。
今、死ぬのは嫌だな…
「神楽さん。目を、閉じて下さい」
『はい』
七海さんの言う通り、休まなきゃ。
そうゆっくりと瞼を閉じると、ふわりと大好きな七海さんの匂いがして安心する。
!!?
え…あれ…?
唇に柔らかな感触がして、力が抜けていった。
私、今、七海さんにキスされてる…?