第6章 七海さん
深く息を吐き出しながら、負傷者の方達と怯えた非術師の救護班の方達を視界の隅に映して、私がやるしか無いのだと言い聞かせる。爪で全ての自身の血液のストックパックを破り、手で矢の形を作り、口を開いた。
『赤血操術…!』
なるべく少ない血液で全ての呪霊の行動を止めなくてはいけない。
次々に呪霊の足を血液の矢で貫通させ、1体ずつ確実に祓っていくが、何体かは私が祓う前に手足を再生させてしまう。
っ!!
不意に背後から受けた攻撃を避けきれず、数メートル飛ばされて身体が簡単に倒れてしまう。耳に届く救護班の人の悲鳴に胸が締め付けられた。
身体が、動かない…
頭打っちゃったのかな、どうしよう、立ち上がらないといけないのに…
『な、なみ、さん…』
最後に、一目会いたかったな…
そう軽く息を吐き出しながら死を覚悟した、
刹那
どさり、と、私が祓えなかった3体の呪霊が倒れていくのが薄目に映る。
心臓が大きな音を立てた。
「神楽さん!大丈夫ですか」
大好きな人の声が聞こえる。
本当に、七海さん…?
そう声に出したいのに、意識が遠のいていく。
七海さんの顔が見たいよ…