第6章 七海さん
「神楽さん!この方もお願いします」
『はい!…ふぅ』
負傷した女性術師を前に、気合いを入れながらも息を吐き出した。
永遠に終わらない気がする…
五条先生と硝子さんの知り合いだという呪詛師の人も大変な事を仕掛けてくれたな、と思いながらも怪我人を治し続ける。
救護場所であるこの場所に運ばれた時には、既に息絶えて救えなかった人もいるくらいだ。
七海さん、大丈夫かな。
七海さんの安否を心配して、胸がきゅっと締め付けられたその時、
ドゴォオオ!!
『!!?』
大きな音にびくりと身体が揺れて、目を見開いた。
こんなところにまで、呪霊が…!?
見張りの術師の方だって何人か居たはずだよね!?
急いで立ち上がり怪我人を見回し、瀕死の怪我人が居ないことを確認する。
いつも持ち歩いているストックの血液パックを取り出すと、それを爪で破りながら、大きな目標呪霊に向かって跳んだ。
私なんかじゃ大した時間は稼げないかもしれないけれど…
その間に1級術師の方が駆けつけてさえくれれば!
『下がってください!…赤血操術!』
操った自身の血液達が呪霊の手足を負傷させたのを確認すると、背中に背負っていた呪具の刀を取り出して、思いっきり呪力を込めた。
良かった、祓えた…
って、嘘…これがあと、10体以上!?
1体倒すのにストックの血液を半パックも使ってしまった。
残りは2.5パック…圧倒的に足りない。