第6章 七海さん
硝子さんの言葉に一瞬身体が硬直するが、無理矢理口角を上げた。
『目の前に瀕死の方がいたら、そんなこと言ってられないですよ!』
「いいの?JKでしょ?」
『良いんです!好きな人とファーストキス出来たし』
そう七海さんとのことを思い出して、顔が少し熱くなる。
七海さんからしたら大した意味は無かったかもしれないけれど、私にとっては凄く心に残る日になってしまった。
そ、それに!七海さんと、もしかしたら両想いかも、なんて…
「へー、あの七海が琴音にキスねぇ」
『七海さんの方に深い意味は無いと思うんです!
ただ、私は嬉しくて…って、そろそろ午後の授業ですね!硝子さん失礼します!』
これ以上ここに居たら、根掘り葉掘り聞かれちゃう…!
そう急いで席を立ち、ぺこりと彼女に頭を下げて保健室を退出する。
私、変じゃ無かった、よね…?
「だってよー、七海」
家入さんに名前を呼ばれて、シャッとベッド周りのカーテンを開き口を開いた。
『心外ですね、かなり』
「まあ、あの子なりの強がりだろうけどねー、京都あたりで手出してあげなよ」
『家入さん…はぁ…』