第6章 七海さん
七海さんと保健室で会ってから数日が経過したある日の午後。
保健室で硝子さんとお茶をしていれば、
「失礼します。
家入さん、それに神楽さんも丁度良かった。
明後日の…その…呪詛師の百鬼夜行予告の件なのですが…」
「伊地知、やっぱりそれは琴音も行くの?」
「そうですね…神楽さんには七海さんと京都の方へ行って頂くことに決まったようでして…」
『京都…』
「詳しくはこちらに。それでは、失礼します」
百鬼夜行。
私が高専不在だった日に、突然高専結界内に現れたという呪詛師集団によって予告された、本当に本当だったら恐ろしいことを明後日に起こすというもので…
急いでいる様子の伊地知さんは、私と硝子さんにそれぞれA4の紙を渡すと、足早に保健室を後にしてしまう。
どうやら私は京都救護班へ、硝子さんは東京救護班へは配属されるとのこと。
私が、救護班…?
他者への反転術式が使用出来ることは一部の人以外には伏せているため、私は準一級戦闘要員とされている。それでも、そんな私を公の場の救護班に回さなければならないほどに、死傷者が出てしまうと予想されているのだと察して、ぶるりと身体が震えた。
七海さんと同じ京都なのは嬉しい、けれど…
私、生きて帰れるかな…
「とうとう琴音に反転術式を使う任務が来てしまったか」
七海さんに、男の人に反転術式使わないって言っちゃったけれど、
『私、がんばります!』
「よろしくね、でも、口へのキスはしなくていいからね」