第6章 七海さん
『はぁ、はぁ、ん』
「ちゅうっ…神楽さん、さっき私に好きと言ったのは嘘じゃないですよね」
『!本当です、本当に、七海さんが、好き、です』
「そうですか。
私もあなたが好きですよ…なので問題ないですね。目を閉じて下さい」
え?今、なんて…
私を、七海さんが好き…?
聞き返すより先に、七海さんの指示に素直に従えば、唇に柔らかいものが押し当てられ、そのまま唇を割って生暖かいものが侵入してきて…
彼にキスされて、舌を入れられているのだと理解して、びくりと身体が揺れて逃れようとすれば、ぎゅっと腰を掴まれ甘い刺激が背中をかけ回った。
『んっ…!ぁ、はぁ、はぁ、んっ』
「今後、男性に反転術式を使ってはいけませんよ。分かりましたか?」
『は、い…』
ふわりと微笑む七海さんにドキリと改めて心臓が高鳴る。
起き上がって私を解放した彼は、私の額にキスを落とすと、
「では、また今度。お邪魔しました」
そう言って、足早に保健室を出ていってしまった。
…また今度って、どういうこと?
落ち着いてきた呼吸をさらに整えて、ゆっくりベッドから起き上がる。
あんな意地悪な七海さん、初めて見た…
そ、そそんなことより!かなり年上の七海さんが、私を好きって言った…?
もしかして、私にお仕置きするための嘘…?
火照る身体を自身の腕で抱きしめながら、恥ずかしさとほんの少しの期待が入り混じった。
『七海さん、分かんないよ…』