第6章 七海さん
『んっ……』
呪力を口の中に溜め、それらをぶつかり合わせて反転させる。
難しくて何度も挫けそうになったけれど、五条先生に練習付き合ってもらって良かったな…凄く、恥ずかしかったけれど
上裸になった七海さんの肩に手を添え、傷口に口を近付け集中した。
七海さんを、助けなきゃ…!
「神楽、さん?何をして…」
『ん、ちゅぅ、くちゅ…』
「!?!……は?」
血の味がする。
そう思った時には七海さんが振り向いて、私の両肩に手を置き距離を離されていた。
七海、さん??
少し頬が赤くなり、サングラス越しに見える七海さんの驚いたような目に首を傾げた。
『えっと…まだ、治しきれて、ないですよ?』
「何を、しているんですか」
『えっと…反転、術式です』
私の肩を掴む七海さんの手から少し力が抜け、一瞬にしていつも通りの七海さんに戻る。
私の術式、今使うべきではなかったのかな…
七海さんの口調から怒られているのだと悟った私は、少し縮こまってしまう。
「神楽さん、それは…どういう事ですか。
あなたの術式は血液を使用するものだったと記憶していますが」