第6章 七海さん
ガラガラガラ
そう扉が開く音がして、自然とそちらへ目を向ければ、
『七海、さん?…大丈夫ですか!?』
そこには、尊敬している1級術師の七海さんが顔を歪めながら立っていたのだ。
駆け寄って身体を支えれば、背中に血が滲んでいるのを見つけてしまう。
七海さん、怪我してる!?
硝子さんが居ない時に限って…!
「神楽さん、こんにちは
…家入さんは、居らっしゃいますか?」
『えっと、硝子さんは朝から高熱を出してしまっていて…
代わりに私が…あの、七海さん、座ってください』
「そうですか。では、応急処置を、お願いできますか…」
うぅ…
七海さん、凄く辛そう…
ジャケットとシャツを脱いだ七海さんの背中には、大きな傷があり、目を見開く。
余程の事が無い限り、私の反転術式は使わないようにと硝子さんと五条先生に言われてはいるものの、今がその、余程の事態なのだと悟ってしまう。
この力を使うのは久々だけれど、絶対成功させなきゃ…!
『な、七海さん!動かないで下さいね』
「?…お願いします」