第5章 夏油君と五条君
もどかしさでどうにかなってしまいそうで、口を開く。
『げと、く…』
プルルルル
!!
「おや…悟だね。もしもし?」
え?
突然響き渡った着信音にびくりと身体が揺れ、ゆっくりと私から離れた彼は、なんと普通に電話に出たのだ。
しかも…悟?
「ん?琴音?…ほら、悟だ」
『ふ、ぇ?』
反射的に受け取ってしまった携帯は、確かに悟との通話画面。
…っていうか、これ、私の携帯!?
驚きながらも目の前を見れば、夏油君は見当たらず、代わりに…
『ひあっ…んっ…』
「琴音、早く出てごらん?」
突然、後ろから腕を胸の上下に回されて耳元に息を吹きかけられる。
お互いに上半身は何も身につけていないために、密着度とその暖かさが下腹部をきゅっと締め付ける。
変な声が…!
悟に、聞かれた…?!
恥ずかしさと不思議な罪悪感より、急いで通話終了ボタンを押して背後の彼を睨む。
「切ってしまったのかい?
…怒った顔も可愛いけど、そんなことしてしまったら…」
ドンドンドンドンッ!!
『きゃっ!なに…誰かドア…!?』
「はぁ…来てしまったか…」
「おい!!開けろ!!5秒で開けねぇと壊すぞ!」
『さ、さと、る…?』