第5章 夏油君と五条君
夏油君の言葉に身体が大きく揺れて、行き場を失った手で彼の腕を掴んだ。
頬に添えられている彼の手が、熱い…
心臓の音が部屋中に響き渡っているような気がして頭がクラクラする。
「琴音、悪いがそんな顔をされたら優しく出来ないけど、いいのかい?」
『!え、あ……優しく、して下さい』
「善処しよう」
この場から逃げるという選択肢が何故か無くなっていて…あっても彼からは逃げられないのだけれど。
フッと優しく彼が微笑み、ゆっくりと顔が近付いてくる。
全身に力が入ってしまうが、彼と唇が重なった瞬間に抜けていく。
『んっ、ぁ…ひぁっ』
優しく口内をかき回されながら、頬に添えられていた彼の手はするりと身体を降りていき、腰と胸を優しく撫でていく。
「クスッ…悟と違ってゆっくりするさ。
そんな慌てないでくれ」
『あ、慌ててなんか…!ん!』
微笑みながらも、キスで口を塞いで私を喋らないようにする彼。
やっぱり少し意地悪なのに、身体はどんどん彼を求めていて…
…もっと、キスしたい。
『ひゃっ…!んぅ』
「そんなに抵抗しなくても、琴音の身体は既にこの前見てしまったよ」
そういう問題じゃ…!
クスリと笑われながらも私の部屋着のボタンを外す手は止まらない。
確かに、あの時裸を見られたけれど、それとこれとは全然別問題で…