第5章 夏油君と五条君
『夏油、くん…あの…』
「悪いが、お礼の内容を変えるとか、そういった話は受け付けないよ?」
『他のことなら、本当に…』
「駄目だ」
言い終わる前にそう被せられて身体がびくりと揺れる。
悟もそうだったけれど、なんで夏油君まで耳元で話すの…!
これ以上言い返す言葉が見当たらず、必死に頭を働かせようとするが、彼の髪が頬を掠めて、再び頭が真っ白になってしまう。
「口を開いて」
『??……!んっ、ふ…』
なぜか素直に小さく口を開いてしまった私。
何してるの私…!
噛み付くようにキスされ、彼の舌が私の口内を掻き回す。ぴくりと揺れた私の腰に彼の腕が周って、支えられ、引き寄せられた。
『げと、く……ひぁっ!なっ、に…』
「なにって…琴音をベッドに運ぶだけだよ」
お姫様抱っこにされたと思えば、クスリと笑ってそう私をベッドに丁寧に降ろす。
硬直したままの私の頬に手を添えた彼は、
「もう、逃げられないだろう?」
そう口を開いたんだ。