第5章 夏油君と五条君
なんとなく思い出した1番新しい記憶。
私、夏油君に助けてもらったんだった…
ゆっくりと首を縦に動かせば、フッと優しく笑って私の身体から手を離す夏油君。
「悪いが、もう身体は見てしまったよ」
『い、言わなくていいから!』
命の恩人である事は確かなんだけど、これは絶対に別問題!
相変わらず楽しそうに笑う彼は、物腰は柔らかくても所詮は悟の友達だと思い知る。
普通、目が覚めた時点で出ていくよね!?
「琴音」
『な、なに?…ひゃっ、んんぅ』
見上げれば、後頭部を押さえられて、避ける間も無く彼の唇と私のそれが重なる。
!!
「助けて、それから介抱してあげたお礼、今度してくれるかい?」
『え…』
「今度、もらいに行くからね」
『なっ…夏油、君?』
楽しそうに優しく微笑んだ彼は、私を無視してお風呂場を後にする。
今のキスと"お礼"という言葉に背中がぞくりとしてしまう。
本当に本当に、そういうこと、なの??