第5章 夏油君と五条君
全身が熱い。
それでも、痛みが徐々に和らいでいくのを感じる。
それに加えて、徐々に聴覚が戻ってきていて…
ふわふわと浮いているような感覚に身を委ねれば、
「おや?気がついたかい?」
これは、夏油君の声…?
何か答えないととそう思っていた時、
ちゃぷん
そう水が揺れる音がはっきりと聞こえた。
お風呂?
…お風呂場に夏油君がいるの!?
急いで目を開けば、上裸にスウェットのズボンを身につけた夏油君がこちらを見ていて…
『ひゃっ、んぅう!』
「大きな声を出さないでくれよ?
琴音が脱がしてと言ったんじゃないか」
『〜〜〜!!!』
気が付いたら全身何も身に纏っていなくて湯船につかっていて、しかも異性の同級生が私の身体を支えているなんて…!
少し強めに口元を押さえられてしまい、さらに驚きと恥ずかしさが膨れ上がっていく。
手遅れと分かっていても、両手で胸を隠してぎゅっと身を縮こめる。
「完全に動けるようになったようだね。
身体は軽く流したから落ち着いたら出ておいで。着替えは置いておくから。
…くれぐれも叫ばないでくれよ?」