第5章 夏油君と五条君
夏油side
『硝子、本気で言っているのか?』
[早くしないと手遅れになる。
手遅れにして琴音がおかしくなったら殺すから]
そう電話越しに言われて、何かを言い返そうと思った矢先、プツリと切れる通話。
ぎゅっと袖口を掴まれて、ベッドに横たわる琴音にゾクリと何かが込み上がる。
まさか、もう1匹潜んでいたのに気付かなかったとは…
やるしか、ないんだな。
硝子に言われた通りに傷口であろう片脚の長い靴下を、彼女の脚から抜き取れば真っ白な足に大きな切り傷が。その場所から呪いの気配が流れ出てきているのは一目瞭然だった。
いくら友人の好きな人とはいえ、正直、こんな姿を見て自分の理性を抑え続けられる自信がない。
大きく息を吐き出し、自分の口元を呪力で覆った。
…呪いを吸い出す。
彼女の傷口に自分の唇を寄せ、流れ出る呪力を吸う。
「いっ!!ぁ、それ、だめ…!痛い、の…」
動く細い脚をしっかり固定し、上目で彼女の顔を確認する。
!!
身体は赤く火照り、涙を浮かべて左右に首を振っている。
そして、捲れたスカートからのぞくレースのショーツから目を逸らす。
あと、少しだから我慢してくれ…!