第5章 夏油君と五条君
「呪いが入ってきた…?
しっかり掴まっているんだよ?」
あまりの痛みにまともに言葉を発することも出来ず、瞼を薄く開けば普段温厚な夏油君の焦り顔が見えた。
私のばか!
どうしてこんな風にいつも迷惑をかけちゃうの!?
重いであろう私を、お姫様抱っこして走ってくれる彼にぎゅっとしがみ付くと、間もなく私の部屋に到着して…
[呪いにあてられてるね、主に脚が。
琴音?私が分かる?]
『ひ、ぅ……しょ、こちゃん?』
[まだ、間に合いそうだ。
おい、夏油。軽く吸い取ってやれ。きっと少しは良くなる]
「吸い取るって、どうすればいいんだ?」
聞こえてくるのは、電話越しの硝子ちゃんと夏油君の声。
それは分かるのだが、頭がぼーっとして、話してる内容は所々しか分からな…
!!
また、痛みが酷くなって…!
ぎゅっと瞼を閉じて、側に居る誰かを掴んで、
『ん、ぁ……たす、けて……』
そうなんとか声に出したんだ。