第66章 I want to be scarlet ✳︎✳︎

もう、終わり……？
訴えるような視線を杏寿郎さんに送ると、彼はフッと笑った後に口付けを１つくれた。


「………」
「すまない、やはり君がかわいくてたまらない。良いか？」

言葉に出してないのに、視線だけで察してくれる彼はすごいなあと思うけど、そこまで見透かされているのが恥ずかしい。

コクン、と首を縦に振る。すると恋人は私の隣に座って自分の腿（もも）を右人差し指で2回示した。
導かれるように体を起こし、彼の前に立つとじいっと見つめられる。

跳ね上がる心臓の音が聞こえるのでは…と心配になるけれど、私はゆっくりと彼の腿に跨った。
こうすると杏寿郎さんが私を見上げるような姿勢になり、いつもとは違う角度で見られる緊張感を少し感じてしまう。

にっこりと笑いながら私の腰に回される両腕。


「七瀬の体はいつ見ても綺麗だな」
「傷……たくさんありますよ。それでも？」

照れ臭さからついこんな事が口をついて出る。


「ああ、綺麗だ」

私の左頬を優しく撫でる右手。そして私の右腰の曲線を上下に撫でる左手。
その手つきにまたきゅっ……と胸の鼓動が甘く鳴る。


「いつも言っているだろう？傷は君の軌跡で辿って来た証だと。俺にとっては愛おしさしかない」
「ありがとうございます……」

杏寿郎さんの褒め言葉はいつも私に自信をくれる。


「七瀬、来てくれ…」
「あっ、ん………」

腰をゆっくり持ち上げられると、私の下腹部の中心に訪れるのは熱くて硬い彼の昂り。次に訪れるのは双方の先端の蕾への甘い刺激だ。


「先程もう少し……んっ、こうして…はぁ…欲しそうだった…違うか？」
「………わ、ない、です……んんっ、や……」

ち、ちう、と左右の蕾を吸われた後は、舌で丹念に辿られた。


「本当にかわいい声だ」
「ん、杏寿郎さ………」

彼の両肩に置いていた手を首にそっと回し、私はちう…と2回程恋人の唇を吸い上げる。


「……大好き」
「俺の方が君を好きだと思うぞ」

「そうでしょうか……」
「ああ、間違いない」

私の方が好きだと思うけどな。そんな事を考えていると、今度は彼からの甘い甘い口付けが届いた。