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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第65章 年越しは3つの日輪と 〜another story〜✳︎✳︎



「七瀬さん、あけましておめでとう。今年もよろしくな」
「姉上、昨年に引き続き今年もよろしくお願い致します」

お義父さん、そして千寿郎くんから新年の挨拶を受けた私は鐘をつき終わった安堵感と、煉獄家の一員になれた事に胸がいっぱいになり、口元を右手で覆っていた。

「あの、大丈夫ですか?」
「すまん、何か気に障っただろうか」

「いえ、違うんです……これは」
2人にきちんと返事をしないといけないのに、言葉が出てこない。


「父上、千寿郎。我が家の嫁は2人の挨拶に大層感激したようです。従ってこれは嬉し涙故、全くもって心配ありません!」

背を丸めて溢れて来る涙を指先で拭っていると、後ろからポンと右肩を掴まれた。

左を向くとそこには、いつも元気にしてくれる私が大好きな杏寿郎さんの笑顔があり、泣いているのに笑うと言う複雑な表情になってしまう。

「ならば安心だ」
「俺もです!良かった……」

「はい、申し訳ありません。お義父さん、千寿郎くん。こちらこそ今年もよろしくお願い致します」

巾着の中から取り出した小さな手拭いで涙を拭いた後、改めて2人に挨拶を返す。







“最近は年越し蕎麦の他に、年明けうどんが広まりつつあると聞きました。あの……俺、食べてみたいのですが……”

川越に向かう電車の中で、千寿郎くんがこんな事を言っていた。
物珍しさに興味が出た私はすかさず賛同。

すると杏寿郎さんとお義父さんも興味深そうに是非の返事をしてくれた為、元日から開いているお店に向かっている所だ。

中川屋は12月31日から三が日の4日間はお休みするそうで、律子さん未菜子さん親子に場所を地図に書いて貰ったのだ。


お義父さんと千寿郎くんが数歩先を歩く少し後ろで、杏寿郎さんと手を繋いで歩いている。

私は2人の前でこうするのはとても恥ずかしいのだけど、彼が言うには「父と母もこうして手を繋いで歩いていた記憶が朧げながらある。故に問題ない』

そんな経験から来る行動らしい。


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