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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第65章 年越しは3つの日輪と 〜another story〜✳︎✳︎









ちゃぽんとお湯の音が揺れる。

部屋に設置してある露天風呂で体を暖めている所だ。
私は杏寿郎さんに後ろから包み込まれて浴槽に座り、他愛無い話をしている。

川越は海や山が近くに見えるわけではないけど、空を見上げればきらきらと煌めく夜空がある。

星好きの私は何よりそれが嬉しい。

「気持ちが良い湯だな。明日の朝も目覚まし変わりに入ろう」
「そうですね、シャキッと目覚めないとですもんね」

「七瀬は朝にあまり強くないからな!」
「すみません……杏寿郎さんは目覚めバッチリですもんね」

明日 —— 12月31日の大晦日。ここ川越の観光名所の1つである時の鐘は一年で一番賑わう事になる。











明けて31日の早朝4時半。
私は目覚めの口付けを杏寿郎さんから貰う。それは朝が苦手な私にぴったりの強火の炎だった。

「起きたな!おはよう」
「はい……おはようございます」

冬の早朝はまだまだ暗いけど、私の近くには朝日が既にある。








「はい、108枚はここまで!ごめんなさい〜この方で終了です!」

私、杏寿郎さん、お義父さん、千寿郎くんは除夜の鐘を撞くべく、時の鐘にやって来た。

時刻は朝6時。30分前に到着した私達の前には既に100人ぐらいの人が鐘の前に列を作って並んでおり、ある事に備えていた所だ。

今しがた放たれた声は杏寿郎さんに向けられた物で、彼が108番目に鐘を撞く為の整理券を手に出来たと言う事だ。
やっぱり杏寿郎さんは持っているな。


「良かったです、全員整理券手に出来ましたね…」

「早くに着いたと思ったが、聞いていた通りの盛況ぶりだ」

「除夜の鐘を撞く機会なんてなかなかないですもんね。俺は凄く楽しみです!」

「4人皆、良い年越しになりそうだ。旅館に帰ろう、俺は温泉に入りたい」

お義父さんの言う通り、30分何もせずに立ちっぱなしは体に堪える寒さだ。確かに私も温泉に入りたい……。

もちろん美味しい朝食も頂きたい。お義父さんにいち早く賛同すると、彼は少ししわがある目元をくしゃっと崩して笑ってくれた。




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