第65章 年越しは3つの日輪と 〜another story〜✳︎✳︎
「…………」
杏寿郎さんが浴衣を脱ぎ始めた。バサっとそれが落ちると姿を現すのはハッとする程の逞しく、均整が取れた体躯だ。
何度見ても私をほうっと感心させてしまう見事な体つきは、杏寿郎さんの鬼殺が全て刻み込まれている軌跡。
「どうした?幾度も見ているだろう」
私の熱を含んだ視線に気づいた彼が両頬をそっと包み込んで来る。
「そうなんですけど……何度見てもドキドキしてしまうんです」
「そうか、では同じだ」
「んっ……」
ち、ち、ちうと弾むように、唇同士が跳ねた後、彼が私の唇をそっと親指でなぞった。
「君はいつも俺を魅了するからな」
「ありがとう……ございます」
また優しくあたたかい口付けが降って来た。
角度を変えて何度も私の唇を味わった彼は、唇と舌で肌の上をゆっくりと丁寧に辿る。赤の花は咲かせる事なく、柔らかく吸い付きながら向かう先は、膨らみの上にちょんと鎮座している片方の蕾だ。
「んっ、はぁ……」
杏寿郎さんの舌が乳輪を刺激すると、反応するのはそこだけではない。
「濡れてるな」
「や、もう言わないで……あっ」
クプ…と艶めく音が聞こえる先は、下腹部の最下層である蜜壺だ。
「何故だ?俺を求めてくれている証だろう?」
「やん……」
それはそうなのだけど……直接言われると……
「七瀬…今夜君を俺の妻にしてもいいか?完全に」
「かん、ぜん……?」
ああ、と頷いた杏寿郎さんが口付けをくれた後に私の頭を撫でる。
とても、とても愛おしそうに。
「なに、家族を増やすのも良いかと思っただけだ」
「かっ………」
ボワっと真っ赤になったのが自分でもわかる。えっ、待って家族って…………
「む?嫌か?」
「まさか!……ただ……」
ただ?……その先を促す彼に対し、私が告げた言葉は。
「杏寿郎さんと夫婦になったばかりだから、もう少し2人の時間を大事にもしたいかなあって。子供が生まれると色々大変になるとも…聞きますし」
「うむ」