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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第65章 年越しは3つの日輪と 〜another story〜✳︎✳︎



唇が離れると、彼の右手が私の左頬を柔らかく撫でる。
左手は私の髪を纏めている玉簪にそっと伸びた。
スッ……と引き抜かれれば、ハラリと落ちるのは胸元までの髪。

「君は短髪が当たり前だったが……長い髪も良いな。よく似合っている」

小さな口付けの粒が1つ毛先に落ちると、彼は私の毛先を指にくるんで少し遊び始めた。

「やはり柔らかい。こうして指に巻き付けてもすぐに解けてしまう」
その表情はいつもの快活な彼より随分と穏やかな物で、それを見た私の顔にも笑顔が生まれる。

「七瀬…」
「んっ……」

名前を呼ばれると、落ちて来たのはたくさんの口付けの雨。
おでこ、両瞼、鼻、両頬……と続いて最後は唇に当たって、心地よく跳ねた。

背中を支えられ、ゆっくりと私の体が布団に押し倒される。

じっと彼に見つめられるとそれだけで心をぎゅっと鷲掴みにされてしまう。そしてまた気持ちが高まっていく。

「…………あっ」
首元に彼の顔が当たった。吸いつかれる —— そう予感した私は「もっと下に」とつい言ってしまった。

「あの、つけても構いませんけど……見える所は避けてほしい……です」
「……承知した」

フッと笑いをこぼした彼は私の鎖骨付近に花を2つ咲かせた後、浴衣の合わせ目をそっと開く。乳バンドが取り払われると、姿を現すのは2つの膨らみだ。

部屋の灯りは既に行燈のみになっており、橙色の優しい光が私と彼を照らす。

「いつ見ても君の体は綺麗だな」
「ありがとう、ございます……」

小さな傷から大きな傷が点在している自分の体。それらをいつもこうやって褒めてくれる彼は本当に器が大きいなあと思う。

それだけではなく、私が少し小さいなあと感じてしまう乳房にも褒め言葉をくれる。
「掌に収まるか収まらないか。この絶妙な大きさが良い」と言ってくれるのだ。

一見すると劣等感になりそうな部分も、自信をくれる箇所へと変化させてしまう。
どんな時でも「七瀬の全部が俺は好きだ」と言葉に出す杏寿郎さんが私は大好き。

本当に好き。


下穿きに杏寿郎さんの両手がかかり、それを下にずらされる。
浴衣もゆっくりと脱がされると、もう私の体を隠している物は一切なくなる。

心も体も“まる裸”の自分がただ、彼の前に存在しているだけだ。


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