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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第65章 年越しは3つの日輪と 〜another story〜✳︎✳︎



「美味しかったです、お腹いっぱい……」
旅館の浴衣に着替えた私達は露天風呂に入ってみようと部屋に戻って来た。

「やっと二十歳になったからお酒も飲めたし、とっても満足です。私、梅酒とあんず酒と芋焼酎が好きだなあ」

15畳程の広さの客室は茶色の座卓が真ん中に鎮座していて、座布団が四つ置かれていた。
けれど、私達が食事に行っている間にそれらは部屋の端に寄せられており、代わりに2組の布団が敷かれている。

「酔った状態で湯船に浸かると、あまりよくないんでしたっけ?酔いが冷めるまでどう過ごしておきます……?」

“杏寿郎さん”と彼に声をかけようとした刹那、後ろから包み込まれるように抱きしめられた。

ぎゅっと両腕に少し力が加わると、トクンと心臓が弾む。


「する事は一つしかないと思うぞ?」
「んっ、耳元で話すのはちょっと……あっ……」

ツツツ……と温かな舌が私の右耳を辿る。

「今日君にずっと触れたくて、たまらなかった」
「どうして……?あ、ん、待って…」

浴衣の合わせ目からスルッと流れるように侵入するのは彼の大きな右手だ。

そうして乳バンドの上に置かれた手は一旦そこで止まる。
私がその上から右手を重ねたからだ。

「杏寿郎さん……理由…聞かせて?」
重ねた右手をポンポン…と優しく叩く。

「俺の妻はこんなに綺麗なのだな…と改めて思っただけだ」
「ありがとう……ございます」

うなじに軽くあたる唇にまた心臓が跳ねる。

「でもそれ、私も同じですよ」
「そうか?!」

「はい…私の夫は本当に優しいし、かっこいいなあって」
「……ありがとう」

胸に当たっていた右手が浴衣の合わせ目からスルッと外された。
かと思うと、その大きな手は私の顎を優しく掴み、あたたかな唇が当てられる。

ちう、ちう、と啄む口付けが気持ちいい。それがしばらく続いた後は彼の舌が私の唇を割って来た。

「もう少し…開けて……くれるか……」
「は……い……」

ほんの気持ち程度ではあるけど、今までより空間を広げるように唇の隙間をわずかながらも作る。

「あっ…気持ち……いっ……」
両腕を杏寿郎さんの逞しい首元へ回すと、また2人の距離がグッと近づいた。





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