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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第65章 年越しは3つの日輪と 〜another story〜✳︎✳︎


「この雪模様も良いですね」
袖の辺りから金銀糸(きんぎんし)の”雪の結晶”が控えめに見え隠れするのが、またかわいいのだ。

そして決まっているように「明日は俺が塗る」と杏寿郎さんが言う。私の返答はもちろん……了承の1択のみ。
何故なら自分より上手に塗ってくれるから。どうせなら綺麗な指先を味わいたいもの。

それを大好きな彼が与えてくれるのだから尚更だ。


「足元は大事ないか?女性は首と名称が付く部分を冷やさない方が良いと聞いたが」

「はい、長靴下を履いているので大丈夫ですよ。足元が足袋のように二手に分かれている優れものなんです」


最近洋装姿の人もちらほら見かけるようになって来たけど、こう言った物まで売られているのだから時代は進化している。

少しずつ……でも確実に。





「律子さんに会えるの、とても楽しみです。3年振りなので」

「年明けに祝言を挙げると言う事だったな」

「ええ。文にそう書いてありました。とても腕の良い職人さんが婿養子になって下さるそうで……律子さんの一目惚れだったんですって。穏やかで優しい方との事です」

お義父さんと千寿郎くんも向かい側から丁度やって来て、合流した所で中川屋の暖簾を4人でくぐった。


律子さんの母である未菜子さんは、お義父さんの姿を見た途端、接客中にも関わらず泣き出してしまう。

何度も「良かった……」と言う未菜子さんを前にして困ったように。
でもどこか嬉しさを表した表情で、お義父さんは彼女の肩をぎこちない手つきでポンポン…と柔らかく叩いていた。

律子さんには細やかながら結婚の祝いとして、先程の呉服屋で購入した紅白の組紐を渡した。
千寿郎くんも中川屋の食事と甘味に舌鼓を打っていて、何だかとても幸せな時間だった。









それから暫く4人で川越の町をぶらぶらと散策して、宿泊する旅館にやって来た。

「えっ?私達のお部屋って離れなんですか?」
「うむ!」

着いてみてびっくりした。いや、確かに彼とは夫婦になったのだから、そんな事態になっても全く不思議ではない。
何でも他の部屋と違い、露天風呂が設置されているようだ。

離れに露天風呂。私の脳裏に浮かぶのは艶めいた2人の………



「七瀬?食事に行くぞ?」
この杏寿郎さんの言葉で現実に無事戻れた。
良かった……危なかった……

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