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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第64章 I want to be scarlet ✳︎✳︎



「私達は今日の任務が終わりましたけど、周りの方達はこれから仕事に向かうんですよね、きっと」


“納期が迫ってんな!もう一息だ”

“あいつ、ガラスで腕切った所あんじゃん。復帰まであとどれくらいかかんのかな……。ただでさえ人員不足だし、猫の手も借りてぇよー”

“うめえ!やっぱここの肉うどんは俺ん中で1番だ!”

四方八方からこの活発な男性達の声が聞こえ、何だか元気が出て来る。


「そうだな。彼らのように深夜も厭わずに働いてくれる存在があるからこそ、この国の経済は回る。立場や目的、そして役割は違うが、我ら鬼殺隊とどこか似ているような気も俺はする」

「あ、それ私も同じ事思いましたよ」

「そうか!先程の腹が鳴る頃合いもだが、最近君とは思考や波長が特に一致するな。喜ばしい事だ」

目の前の彼が甘辛く味付けしてあるお肉を口に含む。
いつ見ても品よく食事をする杏寿郎さんにほう…と息を飲んだ瞬間、空間に響き渡るのは。


「美味い!!!」
そして今夜もあちこちの食卓で驚きの声が上がる。


私は苦笑しながら、本日の夜食を本格的に食べ始めた。
肉うどんが鰹だしに対し、ここのお店の月見うどんは定番の鰹だしに加え、関東では珍しく昆布だしも使用している。(※1)


薄く切られた2つのかまぼこは中高(なかだか)と言って周辺は低く、中央が高くなっており、 断面は半月状。
その他は輪切りにしたネギ、3センチ程のほうれん草、そして月に見立てた卵がどんぶりの中央にぷかっと鎮座している。

見ているだけで顔が綻ぶうどんをまずは一口すする。
白い麺と一緒に口内に染み渡るのは、昆布の薄口ながらもほっとする味わい。

九州出身の亡くなった母が”関東は味付けが濃いんだよねぇ”とよく言っていたのを、ふと思い出した。








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※ 1……どん兵衛のスープの味が東日本、西日本で違います。確か北海道も。
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