• テキストサイズ

炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第64章 白夜と極夜 〜another story〜 ✴︎✴︎



炎龍と闘拳がぶつかり合う瞬間 ———
側面からもう1つの炎の龍が現れた。

「なっ!七瀬、何故来た!!」

「お前………邪魔をするな! 目障りだ………」

ザクリ、と猗窩座の右腕がちぎれ飛び、勢いよく回った。そして後方に鈍い音を立てて落下するが、5指が力無く動いていた。

左耳から左上腕部は杏寿郎によって深い斬撃を受けている鬼だが ——

『しまった!こいつに意識がそれた……』

「女!目障りだ!!!」

「ぐっ…はっ………」

残っている左足から放たれた強烈な蹴りが七瀬を襲う。

咄嗟に自身の日輪刀を目の前に構えたが、茜の刀身もろとも後方に吹き飛ばされた。


「杏寿郎!!これで邪魔者はいなくなったぞ!さあ、再開だ!」

鬼は今一度、勝負の誘い(いざない)を投げかけるが、この時最も恐れていた事態が猗窩座に降りかかる。




—— 浅緋(あさあけ)の訪れだ。




直ちに逃げようとする鬼を、阻止しようとすべく日輪刀を振り上げる杏寿郎だが、無傷である猗窩座はそれをひらりとかわす。

『くそっ……陽光が本格的に差す前に……早く!』

再生させた右手で顔を庇い、森へと走り出す猗窩座の背中に衝撃が走った。

炭治郎が投げ放った日輪刀が貫通した為だ。

「逃げるな!卑怯者!逃げるな!………この馬鹿野郎!…………」

猗窩座が逃げた森に向かってひとしきり声を荒げていた炭治郎だが、霧雲杉の箱を背負って駆けつけた善逸、それから伊之助の叫び声に気づき、そちらに視線をやる。



「七瀬ちゃん!七瀬ちゃん!」
「おい!七瀬!お前、しっかりしろ!!」


七瀬がぐったりと仰向けの体勢で倒れていた。意識も朦朧としているようだ。

猗窩座の蹴りは日輪刀で多少は衝撃を回避出来たが、その後の受け身が上手くいかずに全身を強く打ちつけられた為である。

「七瀬……」
自分も手負いで歩くのもままならない状態だが、ゆっくりとした動きで杏寿郎は一歩一歩足を進めて、彼女に向かっていった。





/ 1010ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp