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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第64章 白夜と極夜 〜another story〜 ✴︎✴︎



「では中に入るとしよう」
「わっ………」
杏寿郎の両腕が一つは膝裏へ、もう一つは左脇の下へと回された。

「ん?どうした?不都合であったか?」
「その聞き方はずるいですよ…」

姫抱き —— すなわち横抱きにされた七瀬はポッと頬を染めながら反論にならないような言葉を杏寿郎に返す。


再び七瀬の部屋に戻り、衣服を脱いだ後は交わる2人。
やや冷えた体を互いの温度で隙間なく温め合う。














「…………七瀬?大事ないか?」

『無理です、起きれません』
2時間後 …… 白旗を上げる七瀬がそこにいた。

うつぶせに寝る無言の恋人を労うように、その細い体をそっと自分へと引き寄せる杏寿郎。

「すまない、俺は君の事になると抑えがきかない」
「いえ……それは嬉しいし、ありがたいのですが……」

七瀬はその胸に思う。

『限界を知らない彼の体力についていけるようになりたい』 —— と。
どうやらこれが今年の獅子降る夜空の星達に託す願い事らしい。


「先程君は俺に持っていると言ったが…特にあてはまる事があったぞ」

「へえ……どんな事ですか?」

「それはな……」

じいっと日輪の双眸が七瀬の焦茶色の双眸を見つめたかと思うと、唇に届いたのは彼からの優しい口付け。


「七瀬、君に出会えた事だ」
「ありがとうございます……じゃあ私も持っていますね」

今度は彼女から彼に口付けが贈られた。

「大好きな人が自分の事を好きでいてくれるから。杏寿郎さん……好きです、あなたが大好き」

“俺は本当に果報者だ”

愛しい恋人が自分の事を心から好いてくれる。心から大事にしてくれる。

「ありがとう、七瀬。俺も君が大好きだ」

2人の間に数えきれない程の口付けが降るのと同じように、外では夜空を泳ぐ流星がたくさん地上に向かって降り注がれていた。

きらり、きらりと、ひときわ明るく光る星がまた2つ。
闇夜に彩りを加えていく。


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