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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第64章 白夜と極夜 〜another story〜 ✴︎✴︎



「………!」
猗窩座が放った1つの拳が杏寿郎の左こめかみを掠ると、パッ……とそこから赤い血が舞う。

「壱ノ型 —— 不知火」

真横に緋色の横一閃が薙いだ。

鬼は両腕でそれを真っ向から受ける。自分の手首がちぎれ飛ぶ様子をニヤッと笑いながら見ると、すぐに体を再生させてまた闘拳を繰り出して来た。















同時刻 —— 駒澤村にて。

とある長屋の縁側に座っている1組の親子が、星空を見上げていた。父親と男児である。


「お星様凄いね!たくさん降って来る!」

「しし座流星群って言うんだよ。一年に一回のこの時期だけ、たくさんのお星様が獅子座の方角から流れて来るんだ」

「りゅうせいぐん?……ししざ?」

5、6歳であろう彼はまだその単語の意味が把握出来ないようだ。右横にいる父親に小首を傾げながら、疑問を投げかける。

「流れる星って書くんだ」
「……そうなの?」
「ははっ!まだちょっと難しいかー」

息子の頭に掌をポン、と乗せた彼はその小さな体にもう一枚羽織り物をかけてやった。

「冷えて来たな。そろそろ寝よう」
「うん……あっ、お父さん観て!2つ大きなお星様が流れたよ」

「どれどれ……」
父親は息子が指差した方向に視線をやる。

「おおっ!確かに凄いなー。あれは流星じゃなくて、火球かもなあ」

「かきゅーってなあに?僕、わかんなーい」

「火球って言うのはな………」
息子はドキドキしながら、父の言葉を待つ。






















「参ノ型 ——— 気炎万象」
「肆ノ型 ——— 盛炎のうねり」


杏寿郎は猗窩座との激しい戦闘で脇腹は傷つけられ、”日輪”と七瀬が度々形容する双眸も、左の輝きは失われていた。

しかし、怯むまずに2つの型を連続で猗窩座に放った。
それは流星さながらの姿で、数ある星々の中でも特に明るい”火球”を彷彿とさせる物であった。

2人が戦っている頭上でも、大きく煌めく炎の光が2つ夜空を彩る。


『とても手負いとは思えない攻撃だ!今夜の俺は本当に運が良い……』

鬼は嬉しさを心に、そして体全体に充満させながら、後ろに飛び退く。

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